硫酸塩泉の泉質と味わい方、オススメ温泉地を解説！

日本の全10泉質を深読みするコラムの硫酸塩泉編！　泉質の意味や特徴、適応症や成分の定義、知ると楽しくなるマメ知識に加え、実際に訪れた硫酸塩泉のお気に入り温泉地もご紹介します。

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硫酸塩泉ってどんな温泉？

「硫酸塩泉」は、炭酸水素塩泉と並び”美人の湯”と呼ばれる泉質の一つで、硫酸イオンを多く含む温泉です。

”硫酸”というキーワードがありますが必ずしも酸性が強いわけではなく、むしろマイルドな温泉も多い泉質です。この記事では、そんな硫酸塩泉の特徴と、実際に入って感じたオススメ温泉の一部をご紹介します！

硫酸塩泉の適応症

この泉質ならではの適応症である、硫酸塩泉の泉質別適応症は以下の通りです。

• 浴用きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
• 飲用胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘

　　

入浴の禁忌症について

浴用に関して、この泉質ならではの禁忌症はありません。

ただし、一般に温浴や入浴を避けるべき疾病等をお持ちの方（詳細は以下）は避けた方が良いでしょう。

　　
なお、妊婦は禁忌症には入っていませんが、足元が滑りやすいことがあるので、転倒などにはご注意を。

硫酸塩泉の定義（成分の条件）

冒頭でもご紹介しましたが「硫酸」という名前が付きますが、必ずしも酸性が強い温泉ではなく、無色透明のマイルドな温泉も多いです。化学の授業の記憶があれば、中和反応した後の塩（中性）が残っているケースを思い浮かべてください。
山間の名湯にもよく見る泉質で、この後ご紹介する温泉３つもロケーション抜群で泉質はマイルドな名湯たちです。

マメ知識：硫酸塩泉と硫黄泉、酸性泉との違いは？

冒頭も触れましたが、硫酸塩泉という名前から「硫酸＝強い酸性」「硫黄＝独特の香り」と連想される方もいるかと思いますが、実際は少し違います。
硫酸塩泉の主成分となる硫酸イオン（SO₄^2-）は、それ自体に酸性の性質や硫黄特有の匂いはなく、多くの場合は”塩”の安定した成分として存在しています。
塩のわかりやすい例では、ギプスや模りに使われる”石膏”はカルシウムと硫酸イオンの化合物ですが、酸性が強いわけでも硫黄の匂いがするわけでもないのと同じです。

温泉らしい硫黄の香りや刺激的な酸性泉を期待しているとちょっと残念かもしれませんが、美人の湯のマイルドな泉質をゆったりと味わってみてください！

実際に入った山あいのオススメ温泉地

ここでは、はじめて日帰りで温泉を味わった後に、リピートで宿泊もした山あいのオススメ硫酸塩泉の温泉を3つご紹介します。

会津若松観光とセットで！東山温泉

会津の中心街から車で１０分ほど、山のふもとにあるこじんまりとした温泉地が東山温泉です。歴史ある温泉地は川沿いに宿が並んでおり、自然に囲まれた環境で落ち着いた時間を過ごせます。
原瀧は自家源泉を持つ宿で、複数ある湯船で広々ゆったりと温泉時間を楽しめるのが魅力です。

市内の周遊バスでもアクセスでき、車がなくても会津観光とあわせて手軽にアクセスできるのも魅力でした。電車でアクセスするなら、グルメやSLを楽しむ観光列車と組み合わせた旅路もオススメです。

• 東山温泉 原瀧[3]
• 所在地
  福島県会津若松市東山町湯本 235
• 泉質
  ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物泉

湯巡りも楽しい熊本の温泉エリア！黒川温泉

熊本県の阿蘇山北側の山あいに位置する「黒川温泉」は九州屈指の人気の温泉地です。
温泉街にある各宿の連帯感が強いのが特徴で、象徴的なのが、エリア内全２５の露天風呂から３つを自由に楽しめる「入湯手形」という仕組み。各宿などで購入でき、温泉街全体で旅を盛り上げてくれる仕組みも楽しいポイントです。
旅館 山河は、美肌の湯と呼ばれる泉質の源泉を「塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉」に加え「硫黄泉」の２つも持つ宿です。宿泊者専用の湯船を含めると7つのお風呂があり、どれも趣が違って楽しいです。

また、黒川温泉の周りにはいくつもオススメ温泉地があって選びきれないですが、近場では車ですぐの”小田温泉”がオススメです。

• 黒川温泉 旅館山河[5]
• 所在地
  阿蘇郡南小国町大字満願寺6961-1
• 泉質
  ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉・単純硫黄泉

関東の言わずと知れた名湯！四万温泉

有名な温泉地が数多くある群馬県にある四万温泉は、「四万の病を癒す霊泉」が名前の由来との説があるほどに、歴史ある温泉地です。
積善館は、建物が県の重要文化財に指定されている歴史ある宿で、その佇まいも映画のワンシーンのようで人気を集めています。大正ロマンを感じる建屋で歴史とともに名湯を味わってみてください！

• 四万温泉 積善館[4]
• 所在地
  群馬県吾妻郡中之条町四万温泉
• 泉質
  ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉

参考資料・サイト

1. 環境省環 自総発第1407012号「「温泉法第18条第１項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」及び「鉱泉分析法指針（平成26年改訂）」について」
2. 環境省「鉱泉分析法指針（平成26年改訂）」
3. 会津東山温泉 原瀧ウェブサイト
4. 四万温泉 積善館のウェブサイト
5. 黒川温泉旅館山河のウェブサイト

※入湯メモ等は、筆者が訪れた際の情報です。変更されている場合もありますので、旅行計画の際は公式サイト等で最新情報をご確認ください。