日本の全10泉質を深読みするコラムの含鉄泉編! 泉質の意味や特徴、適応症や成分の定義、知ると楽しくなるマメ知識に加え、実際に訪れた含鉄泉のお気に入り温泉地もご紹介します。
「含鉄泉」は、文字通り鉄分を豊富に含んだ温泉です。湧き出た瞬間は無色透明でも、空気に触れると赤褐色へと変わるユニークな温泉も。

独特の金気香と重厚な湯ざわりが魅力の含鉄泉について、その特徴や楽しみ方、知っておきたい豆知識を深掘りします。
この泉質ならではの適応症である、含鉄泉の泉質別適応症は以下の通りです。
含鉄泉としての泉質別適応症はないものの、他の泉質とのセットになることが多いので、そちらとの合わせ技も期待できます!
筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
なお、これらはざっくりいうと「温まると得られそうな効果」なので、実のところ家のお風呂でも期待できる効果とも言えます。一方で、「泉質別適応症」はその泉質にフォーカスした適応症です!
浴用に関して、この泉質ならではの禁忌症はありません。
ただし、一般に温浴や入浴を避けるべき疾病等をお持ちの方(詳細は以下)は避けた方が良いでしょう。
病気の活動期(特に熱のあるとき)、 活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、 少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、 消化管出血、目に見える出血があるとき、 慢性の病気の急性増悪期
冒頭ご紹介した通り、沸いた時には透明でも、空気に触れると褐色に変色して金泉に生まれ変わることがあります。この性質は、酸性泉とセットの場合は少ないですが、塩化物泉とのセットではよく目にします。
また、鉄分が析出した赤褐色のスケールが、温泉風情を湧き立たせてくれる一面もあります。
含鉄泉以外の泉質のまとめ記事はこちら!
含鉄泉に限らないですが、温泉を上がる際に洗い流して出るかどうか、洗い流すべき/流さない方がいい、どちらの意見も目にします。
適応症や禁忌症などのよりどころでもある環境省の通達[1]によると、以下の記載があります。
ざっくり言い換えると、しっかり湯量の源泉かけ流しなどで新鮮なお湯を楽しめる場合は、原則は温泉成分を残すために洗い流さないのが吉というところでしょうか。
とはいえ、鉄分が多い含鉄泉や硫黄分の多い硫黄泉からそのまま上がると、しばらく鉄や硫黄の香りを身に纏うことになりますので…以下は持論ですが、香りの刺激の強さの観点から、洗い流すのも一案かなと思います。
いずれにしても、心の健康保養も温泉の大事な目的ですから、どなたも気になる場合は流せば良いと思います!
関西の温泉地として言わずと知れた「有馬温泉」は、実は金泉で成分量がとても多い(濃い)温泉としても有名です。

含有成分量が26,000mg/kgを超える源泉があるなど、その濃さが際立ちます(その分、湯あたり注意といわれるほど!)。さらに、金泉と並ぶ「銀泉」の泉質は放射能泉と、泉質の多さも魅力的です。
大分県の塚原温泉「火口乃泉」は、大分の有名な温泉地である別府と湯布院の中間地点にある温泉です。

この温泉の特徴は、泉質の豊かさにあります。鉄の含有量は全国有数で、酸性泉、かつ美人の湯泉質でもある硫酸塩泉の特徴も兼ね備えた温泉です。別府や由布院に行かれる際にはぜひ併せて味わってみてください!(酸性泉としても有名な温泉です!)
こちらの温泉は、含鉄泉に美人の湯泉質といわれる「炭酸水素塩泉」がセットになった珍しい泉質です。泉色は比較的透明度が高く、含鉄泉ながらあっさりめの泉質です。
泉質の珍しさに加え、海沿いのロケーションを活かしたオーシャンビューの露天風呂が旅の疲れを吹き飛ばしてくれます!
※入湯メモ等は、筆者が訪れた際の情報です。変更されている場合もありますので、旅行計画の際は公式サイト等で最新情報をご確認ください。また、記載の泉質は一例のほか、時間の経過や再検査の結果変わることがあります。