日本の全10泉質を深読みするコラムの炭酸水素塩泉編! 泉質の意味や特徴、適応症や成分の定義、知ると楽しくなるマメ知識に加え、実際に訪れた炭酸水素塩泉のお気に入り温泉地もご紹介します。
「炭酸水素塩泉」は、典型的な”美人の湯”と呼ばれる泉質の一つで、重曹成分などの炭酸水素イオンを多く含む温泉です。

炭酸水素イオンの働きにより、弱アルカリ性を示し”ぬるぬる感”のある温泉情緒あふれるお湯が多いのも特徴です。この記事では、そんな炭酸水素塩泉の特徴と、実際に入って感じたオススメ温泉の一部をご紹介します!
この泉質ならではの適応症である、炭酸水素塩泉の泉質別適応症は以下の通りです。
筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
なお、これらはざっくりいうと「温まると得られそうな効果」なので、実のところ家のお風呂でも期待できる効果とも言えます。一方で、「泉質別適応症」はその泉質にフォーカスした適応症です!
浴用に関して、この泉質ならではの禁忌症はありません。
ただし、一般に温浴や入浴を避けるべき疾病等をお持ちの方(詳細は以下)は避けた方が良いでしょう。
病気の活動期(特に熱のあるとき)、 活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、 少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、 消化管出血、目に見える出血があるとき、 慢性の病気の急性増悪期
なお、炭酸水素イオンが主成分でなくとも、ミリバル比で20%以上あれば副成分として記載する
温泉成分が毛穴の汚れを落としてくれる”美人の湯”と呼ばれる代表的な泉質の一つです。
身近な成分例として「重曹」が主成分だと「ナトリウムー炭酸水素塩泉」または古い表記では「重曹泉」との泉質名になります。
炭酸水素塩泉以外の泉質のまとめ記事はこちら!
”美人の湯”とか”美肌の湯”と紹介される温泉を目にしますが、実はこれらが泉質や適応症として定義されているものはありません。
一方で、成分中で期待できそうな角質を落とすクレンジング効果や、保湿・美白効果などをもとに、以下の4つの泉質が、よく美人の湯や美肌の湯として紹介されています。
個人的には、ぬるぬる感の強い炭酸水素塩泉に入ると、効いている気がして幸せになれます(笑)
ここでは、数ある炭酸水素塩泉のうち実際に入った温泉地から、美人の湯や美肌の湯で有名な温泉、ユニークな泉質の温泉をピックアップしてご紹介します!
嬉野温泉は、佐賀県にある「日本三大美肌の湯」の一つにも挙げられている温泉地です。西九州新幹線の「嬉野温泉駅」が開業したことで鉄道アクセスも便利になりました。
源泉かけ流しのお湯を楽しめます。温泉宿やお店が立ち並び、かつては宿場町としても盛り上がった温泉街の川沿いには”シーボルトの湯”という公衆浴場もあり、こちらも気軽に名湯を楽しめておススメです。

機会があれば、残り二つの温泉にもぜひ!
鶴丸温泉は鹿児島県姶良郡にある素朴な温泉施設ですが、泉質がユニークで是非リアルに楽しんでほしいオススメ温泉です。
モール泉と呼ばれる黒色のお湯と特徴的な香りが特徴的です。モール泉というと北海道の十勝川温泉(以下の塩化物泉の記事でご紹介しています)が有名ですが、こちらの温泉はその黒さから九州でも指折りの認知度です。

JR鶴丸駅からも近いですが、2025年12月現在あいにく夏の大雨の影響により長期運休中です…。
龍神温泉は、和歌山の山奥にある川沿いの温泉地です。こちらは「日本三大美人の湯」の一つに数えられる温泉地です。
アクセスはなかなか大変なところにあるものの、泉質はピカイチ。自然豊かな環境と合わせてゆったり楽しみたい温泉です。
機会があれば、残り二つの温泉にもぜひ!
※入湯メモ等は、筆者が訪れた際の情報です。変更されている場合もありますので、旅行計画の際は公式サイト等で最新情報をご確認ください。