塩化物泉の泉質と味わい方、オススメ温泉地を解説！

日本の全10泉質を深読みするコラムの塩化物泉編！　泉質の意味や特徴、適応症や成分の定義、知ると楽しくなるマメ知識に加え、実際に訪れた塩化物泉のお気に入り温泉地もご紹介します。

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塩化物泉ってどんな温泉？

「塩化物泉」は国内で単純温泉と並びポピュラーな泉質の一つで、塩などの塩化物イオンを多く含む温泉です。
塩分が汗の蒸発を防ぎ、保湿効果もあるといわれ、湯冷めしにくい”熱の湯”と呼ばれることも。

全国各地で見られる泉質ですが、”塩分”と関連して海沿いの温泉には多めで、無色透明のお湯が多いのも特徴です。

塩化物泉の適応症

この泉質ならではの適応症である、塩化物泉の泉質別適応症は以下の通りです。

• 浴用きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
• 飲用萎縮性胃炎、便秘

　　

入浴の禁忌症について

浴用に関して、この泉質ならではの禁忌症はありません。

ただし、一般に温浴や入浴を避けるべき疾病等をお持ちの方（詳細は以下）は避けた方が良いでしょう。

　　
なお、妊婦は禁忌症には入っていませんが、温泉は足元が滑りやすいので、転倒などにはご注意を。

塩化物泉の定義（成分の条件）

塩化物イオンというと化学っぽく聞こえますが、例えば食塩を表す塩化ナトリウム（NaCl）や、にがり成分を表す塩化マグネシウム（MgCl₂）は身近に聞く成分かと思います。
これらの塩分が冒頭で紹介した保湿効果を期待するゆえんです。

豆知識：塩化物泉の成分量を海水と比べてみる

塩分というと、海水が浮かぶ方も多いと思います。
海水には多くの塩分が含まれていますが、海水の塩分濃度は概ね3.4%程度で、溶存成分量で約34,000mg/kgと、塩化物泉の基準（1,000mg/kg）の34倍とかなり濃いです。
海水よりも塩分量が多い温泉で有名なのは、兵庫県の有馬温泉などがありますが、多くはそこまでの成分量はありません。

ちなみに、成分量だけ見れば海水も温泉の条件は満たすものの、現世の海水は温泉とは判定しないことになっています。

実際に入ったオススメ温泉地

北海道十勝でモール泉の聖地に

帯広からもほど近い十勝川のほとりにある十勝川温泉は、植物性の有機物を豊富に含む「モール温泉」で有名なスポットです。

△スライドすると写真を切り替えられます。
北の大地ならではのゆったりとした温泉を楽しみつつ、近場では池田のワイン城、少し足を伸ばして襟裳岬へのドライブと併せて楽しんでみてください！

• 十勝川温泉「豆陽亭」[3]
• 所在地
  北海道河東郡音更町十勝川温泉南１２丁目
• 泉質
  ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉
• 入湯メモ
  褐色のモール泉/日帰り入浴も可

青森でオーシャンビューの絶景露天風呂に

波打ち際間近の露天風呂から眺める日本海の絶景が最高の温泉宿です。海辺の温泉特有の塩分の強い泉質で、鉄分も多く含まれるため、赤褐色の濁り湯になるとも特徴的なポイントです。

送迎最寄りのウェスパ椿山駅へは、秋田や青森から観光列車「リゾートしらかみ」が運行されています。予約制の車内グルメと併せてぜひ！

• 黄金崎不老ふ死温泉[4]
• 所在地
  青森県西津軽郡深浦町舮作下清滝１５−１
• 泉質
  含鉄ーナトリウムー塩化物泉
• 入湯メモ
  濁り湯の強塩泉/日帰り入浴も可

なお、夏場の露天風呂はアブに好かれることがあるので、苦手な方は別の季節がおすすめです。

鹿児島指宿の海岸で砂蒸し温泉に

指宿温泉は、日本でも珍しい”砂蒸し温泉”を楽しめる温泉地です。砂浜から沸き立つ湯気が指宿らしいハイライト。
以下でご紹介する日帰り施設のほか、休暇村など一部の宿泊施設には、施設内にも砂蒸し風呂を設置しているところもあります。

また、列車でのアクセスでは鹿児島中央から人気の観光列車「指宿のたまて箱」が、旅時間を一層楽しいものに変えてくれます！

• 指宿温泉「砂楽」[5]
• 所在地
  鹿児島県指宿市湯の浜5丁目25番18号
• 泉質
  ナトリウムー塩化物泉
• 入湯メモ
  砂蒸し温泉＋温泉でさっぱり

参考サイト・資料

1. 環境省環 自総発第1407012号「「温泉法第18条第１項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」及び「鉱泉分析法指針（平成26年改訂）」について」
2. 環境省「鉱泉分析法指針（平成26年改訂）」
3. 豆陽亭ウェブサイト
4. 黄金崎不老ふ死温泉ウェブサイト
5. 砂むし会館 砂楽ウェブサイト

※入湯メモ等は、筆者が訪れた際の情報です。変更されている場合もありますので、旅行計画の際は公式サイト等で最新情報をご確認ください。